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ニシンロードに春を探す。
先日旧知のMさんと喫茶店で出会って、雑談の折に、なかなか天候が安定しないという話題になって、「そう言えば、この何年間か『石狩湾低気圧』が発生していないのではないか?」という話題になりました。
「石狩湾低気圧」は、西高東低の冬型気圧配置が緩み、石狩湾周辺に気圧の低い部分ができて小さな渦を作り、これが札幌周辺に時ならぬ大雪をもたらして大規模な交通障害を引き起こしたりする厄介ものでした。
この石狩湾低気圧、様々な障害をもたらし、正しく「天の敵」そのものではありましたが、しかし、これがまた「春の使者」でもあって、この「一荒れ」を超えると季節は確実に春に進路をとり始めたことを実感させる「一荒れ」でもありました。
石狩湾低気圧の発生が1月末から2月初めにかけてで、「大寒」が明ける2月3日前後と一致していました。
暦の上で厳寒期を脱出し、実際の気候もそれを裏付けることになるのが石狩湾低気圧であったわけです。

1月31日は、大寒の最中でしたが晴天の上に気温も高く、有るか無しかの春を探して歩くには絶好の日和で、カメラバックと三脚を車に放り込み、石狩湾低気圧の生まれ故郷である石狩の海を見に出かけました。
石狩は、山にも浜にも、まだ雪はうず高くて、海もどす黒い鉛色、時々陽射しが陰るとたちまち真冬の荒涼たる風景にそのたたずまいを変えます。
 石狩八幡を過ぎ望来を越えて小高い丘の道に出ます。ここからは海が一望の下にあり海の表情が手に取るようにわかります。
 海に潮目があり、陽射しを受けた一角が、かすかにエメラルドグリーンに変わっているのを見つけました。
 石狩の海は、これから初夏にかけて、日毎にエメラルドグリーンを広げ深めて、真夏の紺色の海にその表情を変えてゆきます。
 石狩のエメラルドグリーンは春を呼ぶ色であり、この色を待ってニシンの群れに船を出したヤン衆たちも、戦いに敗れ故郷を追われた元武士たちが、新天地を目指す一時、ここで一冬を過ごしたときも、待ち焦がれたのは、この「エメラルドグリーン」の海のいろだったような気がします。
 石狩湾に生き、石狩の浜辺を出発の基地とした者たちも、いや、すべての生き物たちにとても海を染めたエメラルドグリーンは希望の色であったはずです。
 そして、今もまた…

    写真をクリックすると大きくして見ることが出来ます。
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   望来の街と浜は雪に埋もれたまま。


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   ニシンを積んだ船が濃昼(ごきびる)港に帰ってきた。


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   獲れたてニシンは母さんたちの手で数の子と白子に選別される。


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    傷んだ網をつくろい、次の出漁に備える。









  
by ebataonnzi | 2010-02-01 16:26