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一期一会
「写真は一期一会」、そんな言葉を写真を撮るようになって、度々見聞するようになりました。
 一ヶ月ほど前の晴れた日の午後、カメラを持って、郊外の雪原を見に出かけました。
 ここには2キロ以上も続くかと思われる長い真っすぐな防風林があって、いかにも北海道らしい風情を見せてくれるところです。
 冬は真っ白な雪原に延々と黒い直線を描き、春は淡い緑が穏やかな暮色に全部溶け出してしまうのではないかと思わせることがあり、秋には、小雨にけぶる風情が、ひたひたと胸の隙間に浸みこんでくる水のような趣があります。
 こんな想いを何とか写真に写し取ることはできないものか?そんな思いで度々カメラを持って出かけるのですが、想うような写真は撮れたためしがありません。
 真っ白な雪と青い空に浮かんだ柔らかい白い雲をバックに伸びる長い防風林、赤く染まった夕焼けをバックに黒いシルエットとなって伸びる防風林。みんな心の中だけで描いた風景ではなしに、まだ写真を撮ったりする前からも含めて、この目で見た風景なのです。
 度々カメラを持って、ここを見に来るのは、かつて見た風景に再びめぐり合うことができるかもしれない。そんな思いがあってのことによります。
 しかし、強く心をとらえた風景には、その後二度とめぐりあってはいません。感動した時との天気の違いもあります。雲の形が違えば日の光も違おうというものです。
 正に風景と言えども、過ぎ行く時間と同じで、元へは戻らず、一期一会だと思わざるを得ません。
 私などは、言うまでもありませんが、写真を生業にするわけでなし、再びめぐり合うことのない風景を求めて、気の向くままにぶらりと出かけるのも、写真愛好者の「冥利」と言うものかも知れません。
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 この日は晴れたり、曇ったりのめまぐるしく変わる天気でしたが、吹雪で煙る防風林は撮れないものか?と思って出かけたのでした。
 ところが、雲が切れて陽が射し、雲の流れは速いものの吹雪になる気配は一向に訪れませんでした。思うようにならないのは写真も天気も同じです。
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 夕焼けを見に出かけた郊外で、夕焼けまでには少し時間があって、通り道の茨戸公園に寄ってみました。
 ここは石狩川の河跡湖で一部凍らないところがあって、カモたちの越冬の場所でもあるらしいのです。立ち寄った時は風も比較的穏やかで、カモたちが泳ぐときれいな「航跡?」ができて、もともと静かな場所ですが、一瞬深山の湖にでもいるのではないか?そんな気にさせられます。
 急いで車までカメラを取りに戻り、カモたちを追いましたが、風が吹き始め、その風に乗るようにカモたちは飛び去りました。
 この時のことが心残りで、その後3,4回ここのカモを見たさに出かけましたが、一度も望むようなロケーションには出会いませんでした。
 これも、一期一会かも知れません。
by ebataonnzi | 2011-03-21 01:38